テキストサイズ

その瞳にうつりたくて…

第4章 she is...

「ぜーったい変ですよ…。あ、すいませーん!砂肝と皮の塩焼き下さーい!!」

カウンターの奥のスタッフに大声で注文を通した。
平井先生から何か参考になる声が聞けるかと思ったが、余計に苦しくなっただけだった。
しかも、平井先生が急ピッチで焼き鳥を頼むときは既に酔いが回り始めてる証拠。
こうなったら昨日と同じでベロベロに酔っ払って俺がタクシーを捕まえて家まで送るという流れになる。


俺は酒を流し込むので精一杯。
いつもなら俺も焼き鳥の数本は頼むが、今日はどうも食欲が湧かない。
吐き出したい罪悪感を酒で流し込んだ。
しかし、流し込んだ罪悪感は俺の体内で膨らむばかり。

女性にとって初恋は特別なもの。
さっきの平井先生の言葉…。

彼女の中でも俺への初恋は特別なものなのだろうか。
それとも、ただの憧れとしてもうすでに冷めてるのだろうか。
子供の頃の恋なんて麻疹みたいなものだ。
俺の正体がバレても大丈夫なのか?
それとも、やはりこのまま隠し通すべきなのか?

「んもう~、加藤先生、ぜんっぜんお酒が進んでませんよーーーっ!!」

そう言って平井先生は昨日と同じく俺の肩をバンバンッと叩いて来た。
平井先生のこれは励ましてくれてるのか、それとも叩きたいだけなのか?
ボディータッチの一種なのか?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ