無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

っていうか、この体制…。
この子、見えてないのかな？
体制的に抱き締めるような形になってんだけど。

「いや、あの、ほら…、窓も閉まってるし、それに、この雷もじきにどっかに行くから…っ」

俺の胸で小さく震えるこの子を落ち着かせようと必死にいろんな言葉をかけたが、彼女の震えが止まる気配はない。
よほど怖かったのだろう。

「大丈夫。大丈夫だから…」

あぁ、もう…。
ここへ来ないようにしていたのに、来てはダメだとわかっていながら勝手に足が向いていた。
中に入ったら入ったで何だよこの状況は。

こんなとこ、他の生徒や指導員の先生に見られたら俺は一発でクビだな…。

「だ、大丈夫大丈夫…」

彼女の背中を撫でたり、落ち着かせようと軽くとんとんと叩いて見たり
怯える彼女の恐怖を少しでも取り除こうとした。

「はい…、あ、ありがとうございます…。ぐすっ」

俺の胸の中で鼻をすすりながら心を落ち着かせようとしてる様子。
とりあえず、さっきのパニック状態からはだいぶ落ち着いたようだ。

と、とりあえず…、この体制を何とかしねぇと。
俺は指導員だが、一応…、その、男だし…。
不可抗力とは言えこんな若い子に抱き着かれてどうすりゃいいんだよ…。
嬉しくないと言えば嘘になるが…。