テキストサイズ

その瞳にうつりたくて…

第4章 she is...

「……っ」

参った。
この子は目が悪いんだった。
不可抗力とは言え、今俺に抱き着いてるとは気付いてないのだろう。

「あ、あの…、綾ちゃん…」
「え、え…?」
「この体制は…、ちょっと、そろそろ…」

俺のその声に彼女はハッと気づいた。
ようやく俺と自分がどんな体制になってるのか気づいたようで

「きゃあっ!ご、ごめんなさいっ!つい、その…、こ、怖くて…っ」

慌てて俺の体から離れてくれた。
その瞳からは今にも涙が零れ落ちそうだった。
よっぽど怖かったんだな。

その彼女の顔を見て思った。
いちいち可愛いなぁ、と。

って、16歳も年下の女の子に何を考えてるんだ。
ロリコンかよ、俺…。

「あの…、ハルさん…」
「ん?あ、えぇ?」

ハルさんって、俺の事か…。
自分で名乗った架空の名前とは言え慣れないなぁ。

「来てくれて、あ、ありがとうございます…」

そう言うと、彼女は安心しきったのか堰を切ったようにその瞳からは涙がボロボロと零れ落ち出した。

「えっ!?いや、その…っ」

来てくれてって…、別に俺はこの子と何の約束もしていない。
俺が勝手にここに来ただけなのに。
なのに、何で礼なんか言われてるんだ?

「き、来てくれたって…」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ