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その瞳にうつりたくて…

第4章 she is...

「だ、だって…、今日はハルさん、なかなか来てくれなかったから…」




は?

え…
えぇぇ…、何だよ、それ…。

俺はここへ来ないようにしていたのに、彼女は俺を待ってくれていたというのか?
今日はここへ来ないように自分の気持ちと葛藤してたから。

「お、俺の事待ってたの?」
「だって、私のお友達ってハルさんしかいないから…」

お、お友達…?
俺がこの子の友達?

「私、事故にあってから部屋に閉じこもってばかりで。ここにピアノを弾きに来るようになってからはリハビリも兼ねてちょっとずつ外に出れるようになったけど…」

あー、なるほどな…。
でも、俺とこの子が友達になるのは危険だ。
そんな事したらいつ正体がバレるか…。
でも、この子は目が悪いし俺の正体がバレる可能性は少ないかも知れないが、それでも危険すぎるような気が…。

「あ、あの…、私が友達ってダメですか…?」
「は…っ?いや、ダ、ダメッて訳じゃ…」

彼女は視点の合わない瞳で俺を見つめている。

初めて会ったときから思ってた。
彼女の表情はコロコロとよく変わる。
瞬きをしてる間にいろんな表情を見せてくれる。

「でも、ハルさんは指導員さんですもんね…」
「あ、まぁ…」
「でも、私は今休学中だし、そこまで固く考えなくてもいいって言うか…」

休学中でも先生と生徒に変わりはないと思うが…。

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