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それが普通だ。
彼女の幸せを考えればそれが一番いいことだ。
なのに、何でそれがめちゃくちゃ腹立たしいんだ…？

「カトセン、今日なんかイライラしてない？」
「負のオーラ満載じゃん」

いつもは気にならない生徒の陰口がやけに耳につく。
いつもならこんな陰口、さっさと流せてしまえるのに。

「何で今さら発声練習なの？」
「さぁ。他に教えることがないんじゃない？」

こんな陰口、いつもは何とも思わない。
何とも思わないはずなのに…。


「発声も滑舌も俳優の基礎だ。だからたまにはレッスンに取り入れて行かないとあっと言う間に腹筋も呂律も崩れるぞ」


「っ！？」



……え？
あ、あれ？
俺、今、生徒に言い返した？

「あ、いや…っ」

ただの生徒の陰口に言い返してしまった自分に驚いた。
いつもなら無視したり聞き流したりしてるのに、俺は一体何を…。
生徒達も言い返した俺を見て唖然としてる。

「…ま、まぁ、そーいう事だ。わかったか？」
「は、はい…」

唖然としつつも生徒達は素直に返事をした。

俺、今何でこんな事言ったんだ？
何で言い返したりしたんだ？
わかんねぇけど、彼女の事を考えていたら急にイライラして
生徒の陰口に八つ当たりするかのように反応してしまった。
我ながら大人げない…。
生徒に八つ当たりなんて最悪だ。