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ダブル不倫

第4章 アノ日の翌日

「で、俺、凄く酔っ払ってたんだけどさあ、家に帰って寝てんだよ。それで部屋も片付いてて……」
 
 里井は、昨夜の出来事を事細かに部下たちに話している。
 
「実は、俺、相当のキレイ好き……なんてな?」
 
 ――どこが? それは違うと思う。
 
「おお……里井部長、やっぱ凄いっすね」
 
 話を聞いていた里井の周りのコバンザメたちが一斉にざわめいた。
 
 ――部長、昨夜のこと忘れてる?
 
 菜々葉は自分のスーツの襟をピンと正した。
 
「部長、おはようございます」
 
「お、宮崎、おはよう……」
 
 里井が白い歯を見せる。
 
 里井の笑顔を見ることなど、奈々葉が入社して以来だった。
 
 ――部長、元気になってる。忘れてるけど……。よかった、よかったんだ、これで……。

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