ダブル不倫
第8章 一時間早く
♫♪♪〜〜♪♪♫
奈々葉のお気に入りの曲が軽やかに流れ始めた。トートバッグの中にあるスマートフォンの着信音だ。数日前に自分でダウンロードした曲。奈々葉は手探りで自分のバッグからそれを取り出し、スクリーンをタップする。
美希からの着信だ。スピーカー機能に切り替える。
「もし……もし……?」
『あれ……奈々葉、今、どこにいるの? 菜々葉が今日出社するって聞いたから、私も早くって……』
と、いつもは滑り込みセーフといった感じで始業時間直前に出社する美希が言った。美希の声がやけに近くで聞こえるような気がした。
「あ、ありがと。私も会社に来てるの。久しぶりだから、ちょっと早くね」
『ああ、なんだ……』
電話はすぐに切れた。美希がすぐ側にいるような感じがした。また、胸が高鳴る。
「美希……じゃなくて……坂村さん……からです」
再び、里井の唇が短く重なった。
奈々葉のお気に入りの曲が軽やかに流れ始めた。トートバッグの中にあるスマートフォンの着信音だ。数日前に自分でダウンロードした曲。奈々葉は手探りで自分のバッグからそれを取り出し、スクリーンをタップする。
美希からの着信だ。スピーカー機能に切り替える。
「もし……もし……?」
『あれ……奈々葉、今、どこにいるの? 菜々葉が今日出社するって聞いたから、私も早くって……』
と、いつもは滑り込みセーフといった感じで始業時間直前に出社する美希が言った。美希の声がやけに近くで聞こえるような気がした。
「あ、ありがと。私も会社に来てるの。久しぶりだから、ちょっと早くね」
『ああ、なんだ……』
電話はすぐに切れた。美希がすぐ側にいるような感じがした。また、胸が高鳴る。
「美希……じゃなくて……坂村さん……からです」
再び、里井の唇が短く重なった。