ダブル不倫
第8章 一時間早く
里井は指を通して髪を整えている。
「奈々葉……これ……」
美希が自分のショルダーバッグの中から何やら取り出して、奈々葉に手渡した。
「タオルハンカチ……?」
隅に茶色い子犬の刺繍が施されたハンカチ。子犬は美希のトレードマークのようなものだ。
「奈々葉、ここ、ここ……」
美希が表情もなく自分の口元を指差す。彼女自身の唇の周りを指でなぞる。
「えっ……」
奈々葉も手のひらで、自分の口元に手をかざした。
「きゃ……」
ねっとりとした感触が奈々葉の指先にあった。里井と自分の唾液だということは、すぐ分かった。
「奈々葉……これ……」
美希が自分のショルダーバッグの中から何やら取り出して、奈々葉に手渡した。
「タオルハンカチ……?」
隅に茶色い子犬の刺繍が施されたハンカチ。子犬は美希のトレードマークのようなものだ。
「奈々葉、ここ、ここ……」
美希が表情もなく自分の口元を指差す。彼女自身の唇の周りを指でなぞる。
「えっ……」
奈々葉も手のひらで、自分の口元に手をかざした。
「きゃ……」
ねっとりとした感触が奈々葉の指先にあった。里井と自分の唾液だということは、すぐ分かった。