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ダブル不倫

第8章 一時間早く

 心臓が飛び出しそうだった。耳まで真っ赤になるのが分かった。
 
 美希の目が里井の方へ動く。
 
「……あとで、部長にも……ね?」
 
 里井もバツの悪そうな表情で窓の方に目をやる。
 
「部長は顔、早く洗った方が……」
 
 奈々葉は里井の顔に目をやる。彼の口元がピンク色に染まっている。
 
 ――わ、きゃっ、私の……口紅が……?!
 
 里井の口元はピンク色に染まっていた。幼い子供が母親の口紅を悪戯したときのように……。

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