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ダブル不倫

第10章 事件

 ――私が部長を元気にしてあげたい。
 
 プップー!
 
 大型トラックのクラクションの音に煽られる。里井の目がサイドミラーに動いた。
 
 信号は青に変わっている。
 
 里井の手がシフトレバーに動く。
 
「やだ、ダメ……」
 
 奈々葉の指がハザードランプのボタンを押した。
 
 トラックの排気ブレーキがプシューとため息のように聞こえた。バックミラーに見える大型トラックが唸りを上げた。社用車に接近して止まり、角刈りの中年男が窓を開けてわめいた。
 
 次から次へと車のライトたちが、透明から赤色に二人を塗り替えながら通り過ぎる。
 
「見えるよ……」
 
「いいの……」
 
「えっ……みやざき……」
 
 奈々葉の手が里井の股間を捉える。ゴリッとした肉の感触がスラックスにあった。
 
 再び唇が里井と重なる。
 
 互いの舌を探り合う。里井の股間をスラックスから探りながら。
 

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