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小板橋なのかは20代半ば女性、OLだった。
不動産関連の事務職に就いている。

かわいらしくて、清楚なお嬢様タイプだった。
スタイルもよく美人だが格好が地味でそれほど目立たない。控えめな性格でが化粧も薄い。
大人しい印象を受ける女性だった。
それというのも勤めている会社が
従業員も含めて１０名程で小さな会社だ。
若い女性は　なのかともう一人だけ。
あとはパートのオバさんたちだ。
そう言う中では地味になってしまうのも仕方が無かった。
ただ楽しく毎日過ごしていた。


「なのかちゃんこれ」
「わあ苺のチョコですね　いただきます」
休憩中みんなでお菓子を食べていると
「なのかさん」
「これは齋藤さま」
社長夫人が来ていた。夫人は会社のチェックを良くしにくる。夫人はなのかに顔を向けるとにっこりと笑い
画集を見せてくれた。
「素敵でしょ……」
「齋藤さまの作品なんですか？」
　絵は水彩画で紅葉を背景にして、若い女を描いた

「私の知り合いの社長さんの作品」
「素敵ですね。私もこんなふうに描いてもらいたい」　なのかはお菓子をほおばりながら言った。
「モデルをやりたいってこと？」
齋藤夫人が聞いた。
「いえいえ」
「モデルをしたことはないんでしょう？」
「ええ、もちろんありません。私を絵に描いてもらって残したいって思ったことはあったんです」
なのかはそう言いながら腕時計を見た。
「あ、いけない。仕事がありますから、これで失礼します。」
そう言って齋藤夫人にお辞儀をしてその場をあとにした。