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　　愛のことば

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　双葉 如人

　　　　　　　　　１

　わたしが、直さんと、愛しあうようになってから、同僚から、綺麗になったねと言われます。
　恋をしているのかとも、言われます。
　そう、わたしは、恋をしています。
　それも、とっても素敵な、恋です。
　その恋の相手が、直さんです。
　直さんは、とっても優しいのです。
　直さんは、わたしが、嫌と言ったことは、絶対にしませんし、言いません。
　わたしは、看護師なので、職業がら、性の直接的な言葉をよく聞くことがあります。
　だから、直さんとのあいだでは、オブラートに包んでほしいと思いまして、そう言いますと、
　「わかった
　　いろいろ
　　言い換えようね
　　ふたりが
　　仲良くするのは
　　愛しあうでいい？」
　と、言ってくれました。
　そのときから、わたしは、直さんを、好きになりはじめました。
　直さんを、最初に意識したのは、直さんが、健診に来たときです。
　直さんの、前で待っていた男性が、採血をしている看護師に、卑猥なことを言ったとき、
　「あんた
　　言い返せないと
　　わかっている人に
　　へんなことを
　　言うのは
　　やめなよ」
　と、口調は穏やかだが、眼に力を込めて、その男性を睨んだのです。
　男性は、なにを、と言いたげだったが、直さんの、断固とした態度に、なにかムニャムニャと言って、黙ってしまいました。