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愛のことば 「改訂版」

第1章 愛のことば

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 あとで、
 「あんな方がいると
  助かるね」
 と、同僚間で、ちょっと話題になりました。
 その何日かあと、直さんが、廊下でキョロキョロしているのを見て、わたしが、声をかけたのが、わたしたちが知り合う、直接のきっかけになりました。
 「あの
  迷われているんですか?」
 「はい
  出口はどこかと」
 「どちら方面に
  行かれるのですか?」
 そのとき、直さんが、まじまじと、わたしを見たので、わたしも、あっ、健診のときの方だと、気が付きました。
 でも、わたしを、まじまじと見返すのは、どうして?
 「出口を尋ねただけなのに
  そのあとのことを
  考えてくださるんですね」
 と言い、まだ、わたしを、見つめています。
 わたしは、ちょっと、赤くなったと思います。
 「それは
  行先によって
  どこの出口がいいか
  変わるんです」
 「そうだと思いますが
  あなたは
  親切なんですね」
 「いえ」

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