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第1章 おかえり


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「お前、そう言えばタバコ止めたん…?」



情事後、ふと疑問に思い、布団に包まる簓に聞く。



「…ん、え、なんで?」

「いや、昔はお前事が済んだら絶対吸うてたやろ?」

「あ、ああ、せやなー
でもタバコなんか、体に悪いからなあ
体調崩して仕事に穴開けたら大変やん?」

「…そうか、まあ、止めるに越したことないからな、
ええんちゃう」

「うん、それに…タバコ吸うてると
いろいろ厄介やしな」

「そんなもんか」

「…おん」




いつに無く、小さい声に何故か不安な
気持ちが込み上げる。




「…俺、シャワー浴びてくるわ!」


そう言って風呂場へ駆け出した。


「あ、お、おぉ、行ってら……なんやあいつ」




簓を見送った後、ベッドから出て散らかった服を
片付けようと、簓のスーツに手を伸ばした。


カサ…



その時、スーツの内ポケットから一枚の写真が
出てきた。



それを手に取る。



そこには笑顔の簓と、もう一人、タバコを片手に
こちらを睨みつけてる人物が映っていた。





「…、!」




碧棺左馬刻……。


それを見た瞬間、全て納得行った。



簓の、あの時の
俺だけは好きなままでおって欲しいと言うたこと、
禁煙の理由…。

俺の髪型はこの写真の碧棺左馬刻に
良く似ている。
キツイ目付きも。

簓の吸っていたタバコもコイツと同じ物だ。











そうか……。



















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