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堅実メイドの献身

第5章 暎人について

「暎人様のすべてを貴方には把握して頂きます。ご出生からこれまでの経歴、好み、ご友好関係、お仕事に関連するすべての事項。」

「、、、はい。」

ある程度予想はしてたけど、まさか今日中にとは思っていなかった。

「それからもう一つ。」

改まった様子でずいと顔を寄せる。

「な、何でしょう。」

ー ち、近い。

「暎人様のプライベート、この宮古家の内部情報。これらはすべて機密事項です。」

「なるほど。知り得た内容についてはすべて機密事項で、外部に漏れる事ないよう重々気をつけます。」

「話が早くて助かります。くれぐれも、お気をつけて。」

「かしこまりました。」

「最後に。」

「まだ、何か。」

「暎人様の女性関係には上手く対処お願いします。」

「女性関係って。」

「あのお方は、なかなか手癖が悪いのでね。」

「そ、そうなんですか。」

「えぇ、それはもうおモテになるので。まぁ、あの方の手癖が悪いというか、勝手に呼び寄せてしまうのでしょうね。」

「はぁ、そんなにですか。」

「あなたとも何か起こるかもそれません。」

ー ご心配ありがとうございます。ですが、もう手遅れです。


「まさか、私はただの使用人です。」

淡々と聞こえるように答える。

「もし何かあれば、あなたの今後にも関わるので、その事も重々注意するように。」

「もし、あったら。どうなるんですか?」

「その時は、然るべき処分が下るでしょう。」

「わかりました。重々気をつけます。」

雅は真剣な面持ちで答える。

ー これってかなり不味いんじゃ、、、なんとかしないと。

「よろしい。では、こちらをどうぞ。」

藤井はポケットから何か取り出すとたた、雅の手のひらにそっと置く。

「USB、、と、いちごみるく飴。」

「この机上の書類データは、すべてこちらにまとめてあります。今時すべて紙でお渡しするのも如何なものかと思いまして。」

「なるほど。」

「あぁ、この飴はいちごみるくお好きとのことだったので、私からのささやかなエールです。」

「ありがたく頂戴致します。」

「では、よろしくお願いしますね。」

「かしこまりました。」

ぺこりと一礼して、藤井の執務室を、あとにした。

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