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堅実メイドの献身

第5章 暎人について

ー だからって別にどうもしないけど。なんかもて遊ばれてる感じがするのが困るだけだし。というか、藤井さんにも釘刺されたけど、もしバレたらクビなんですからね!というかクビで済むのかしら、、?例えば東京湾に沈められるとか、、、なんてね。

いろいろ考え出したら寒気がしてきた。

ー とにかく今はこの資料に集中しよう。

ブンブン首を振って悪い考えを追いやると、藤井からもらった飴を口に放り込みガリガリ音を立てて噛み砕く。

内容を読むと、どの候補者のお家柄経歴も雅からすれば申し分ないのだが、良い家柄の中でもその中でさらにランクがあるのだろう、この家は事業は伸びてるが歴史が浅いだの、その逆でお家柄は申し分ないが経営は赤字など、結構明け透けなことが書いてある。

ー なるほど、これは機密事項になるよね。うっかり他の人に見られて情報が広まったら一大事。この資料、藤井さんが作ったのかなぁ。藤井さんもお嫁さん探すだけでも大変ねー。


ピロリン〜

スマホの着信が鳴ったので、画面をチェックする。

暎人:(21時に僕の部屋に来て。ハーブティーも用意してきて欲しいな!)

ー きた。とにかく今日はなんとしてもお断りさせて頂きますからね。

時計を見ると18時前だ。きっと暎人はまだ仕事中なのだろう。

ー お仕事中は仕事に専念なさいませ。

雅:(お仕事中に私的なご連絡はお控えください。21時に伺う件、承知致しました。)

と返信する。少しトゲがある言い方だが、なんでも言うこと聞くと思われるのも困るので良しとする。

手元の資料はあと少し残っているが、先に夕食を取りに行く。

ー 今日は午前中掃除しただけで、他にメイドらしいことしなかったな。

あとはただ資料をひたすら読んだだけだ。それ以外は食事。飴舐める。お茶飲む。

ー あんまり仕事した気になれないな。サボってたわけじゃないけど、、、やっぱりもう少し忙しなく働く方が好きだなぁ。

食堂に入ると、柴田と数名のメイドがてきぱきと調理中だった。

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