『私、普通の恋愛は無理なんです。』第3章「セフレ候補」　10ページ

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私、普通の恋愛は無理なんです。

第3章セフレ候補

　五階エレベーターホール。
　
「みきちゃん、おはよう」
　
　同期の宮崎奈々葉が声をかけてきた。少し鼻にかかった甘え声だ。
　
「ああ、おはよう。奈々葉ぃ」
　
　奈々葉は大学時代からの友だちだ。身長が私に比べて十センチくらい小さくてかわいくて大人しいタイプ。だから、よく男子社員からちやほやされている。友だちでも正直言ってうっとうしい。
　
『バッキャロー!』
　
「きゃっ！」
　
　奈々葉が両手で自分の耳を押さえ、亀のように首をすくめた。システム営業部のドアの前で嵐のような怒鳴り声だ。