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私、普通の恋愛は無理なんです。

第2章 プロローグ

「いっぱい出ましたね……」
 
 彼のでいっぱいになったコンドームから窄んでゆくペニスを抜き取る。彼の温もりが残ったそれを指先で縛った。
 
 青臭い粘液をまとったペニスを口と舌でピチャピチャと掃除する。生まれたばかりの子猫を舐める母猫のように。
 
 口いっぱいに独特な苦味と青臭さが広がった。
 
「坂村さん……」

 えっ……。
 
 ふわっとした温かさとタバコの苦味のある臭いに身体が包まれる。
 
 セフレとのセックスのあとはアッサリしていて、すぐタバコに火を点ける人、さっさと着替えて帰り支度をする人がほとんどだ。

 それは榛名さんも例外ではなかった。
 
「榛名さん、ギュッとしてもらうと安心します」
 
 いつもセフレとのセックスのあとは、なぜか気持ちが不安定になるのだけど……。榛名さんのハグは私を落ち着かせてくれる。

「……ゴメンね。坂村さん……」
 
 榛名さんのハグが強くなった。髪に榛名さんの指がさらさらと通る。
 
「……えっ、何で謝るんですか」
 
「イヤ……」
 
 榛名さんの優しい目がはにかんだような笑顔で私を見た。オデコに彼の唇が落ちて、思わず首をすくめる。

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