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それはインキュバスが教えてくれた。

第4章 エピローグ

「ジュリア、きみは僕らの勇者だ。僕と旅をしてくれないか?」
 
 ロミオは七色に光る剣をわたしに手渡した。
 
「ロミオ、嬉しいけど、わたし、帰らなきゃ」
 
 わたしは剣をロミオに返す。
 
「……そっか、だよね」
 
 と、ロミオはわたしに背を向けたあと、ドンと剣を床に突き立てた。
 
 ゴオと地鳴りを上げながら、地面にヒビが入ってゆくように。蜘蛛の巣のようにヒビ割れたそれは編み目のように小さくなってバラバラと落ちる。
 
「ジュリア、済まない」
 
 天蓋付きベッドは消え、わたしは真っ暗な空間に落ちた。

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