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それはインキュバスが教えてくれた。

第2章 イラストの中で……。

 甘いお香の香りに誘われるように、わたしは目を覚ました。
 
「いい、匂い……」
 
「きみ……大丈夫かい?」
 
 目の焦点が合い始める。少し固めのベッド、その上には金色の布が縁取られた紫色の布がテントのように組まれた天蓋、あの本の中で見たあの高貴なベッドだった。
 
「えっ……わたし……ここは?」
 
 そこは、まるで少し前まで見ていた本のイラストのようだった。
 
「そう。きみが見ていたイラストの中さ。驚いたよ。急に気を失うんだもの」
 
 ベリーショートの髪で鼻筋の通った顔が私を見た。コバルトブルーの瞳に吸い込まれそうになる。
 
「あ、あなたは……?」
 
「なんだよ。ロミオ……ロミオじゃないか、ジュリア。きみの恋人の……」
 
 キリッと引き締まった瞳が私を見た。キュンとしちゃう。
 
「ロミオ、だけど、わたしは友梨奈……。ジュリアじゃないわ」
 
「ああ、ジュリア、ジュリア……」
 
 唇に柔らかな唇が重なる。わたしのファーストキスだ。身体がキュンと固くなる。

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