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『アンドロイドの手を握ってください』
　
　悠馬は説明書にある通りに彼女の手を握った。
　
　と、ピッと電子音がして、彼女のまぶたが開く。光が入るグレーの瞳はまるで息をしているようだった。真珠のように白い唇と頬にほんのりと赤みが指した。ピンク色の桜の花びらのようなおちょぼ口からリスのように大きくて白い前歯が覗く。
　
　彼女は音も立てず箱の中に座った。白いスペーススーツの丸い胸の膨らみがふわっと揺れた。
　
「こんにちは。あなた様のお名前を教えて下さい」
　
「ああ、悠馬」
　
「悠馬さま……ですね。承知いたしました。私は、タイプ五八二こと木暮《こぐれ》あい……と申します」
　
　肩まであるシルバーに輝く艶のある髪。小リスのように少しポチャとしたたまご型の顔にアーモンドのような瞳がパチパチと瞬いた。