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僕はアノ音を聞いてしまった。

第3章 リビングルーム

 コンコンコン。
 
 襖をノックする音だ。
 
 襖で仕切られただけのリビングルームには鍵がなかった。
 
 淳也は慌ててジャージ下を腰まで引き上げて、起き上がる。打ち付けていた波がサッと鎭まった。
 
「あっ……」
 
 淳也が返事を返す暇もなく、襖が滑った。
 
 黒目がちのアーモンド型の目が淳也を見る。
 
 ――えっと……。
 
 思わず作り笑顔で場を取り繕う。

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