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僕はアノ音を聞いてしまった。

第3章 リビングルーム

「キモチいい?」
 
 淳也が小さくうなずく。
 
「だけど、僕らは……」
 
 言おうと思った。マサミと淳也は叔母と甥の関係だと……。
 
「誰よ?」
 
「えっ……?」
 
「スイッチ……私のスイッチを入れたのは誰かしら……ねぇ?」
 
 と、マサミが言うと彼女の唇がアップになった。
 
 口紅のネットリした匂いがスーッと近づく。アーモンドのような瞳を閉じながら……。少しづつ開くアヒルのような唇からみえるピンク色の舌先に怪しい銀色の粘りが糸のように見えた。

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