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僕はアノ音を聞いてしまった。

第6章 野田恭子

 覗き込むようにして、恭子の開いたその部分を見た。薄めた乳酸菌飲料のような甘い匂いが微かに鼻腔に広がる。傷口のように痛々しく口紅を施していない唇のように見えた。その中は赤みがかっており、濡れたフリルが複雑に絡んでいる。まるで、キスをする時のようだった。
 
「ノダキョーのエッチな場所にホクロがあるね」
 
 小さなホクロは左の内腿にあった。
 
 淳也の指の先がホクロに触れる。と、恭子がピクリと跳ねる。恭子の赤いフリルがクニッと意味ありげに蠢いた。
 
「へえ、知らなかったわ」
 
「知らないの? 自分の身体なのに……」
 
「だって、見えないもの……」
 
 恭子は唇を尖らせてから、白い歯を見せた。

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