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美少女は保護られる〜私の幼なじみはちょっと変〜

第2章 私のお兄ちゃんは過保護なんです



高校へ入学して早いこと一ヶ月。

中学の頃から多少はあったものの、高校生ともなると明らかに増えてくるのが、彼氏彼女の恋バナ。

キラキラと輝いた瞳で、彼氏や好きな人の話をするクラスメイト達。
それを尻目に、私は盛大な溜息を吐いた。

羨ましい……。

「私も彼氏欲しいなぁ……」

ポツリと小さな声で呟く。

「花音には響さんがいるじゃん」

私の肩にポンッと手を置いてニッコリ微笑む彩奈。
サラサラの綺麗な黒髪を耳に掛けて小首を傾げる姿は……美少女すぎて眩しい。

「眩しいです、彩奈さん」
「……は?」

シラけた顔して私を見てくる彩奈。
そんなクールなところも大好きだよ。

「ひぃくんは嫌だよ……ちょっと変だもん」
「まぁ……確かにちょっとねぇ」

小学生の頃から大親友の彩奈は、ひぃくんの正体を知っている数少ない人間。

小学四年の時も、中学の時も、私の近くで一部始終を見ていた目撃者でもある。

「見た目だけならかなりのハイスペックなのにね」

そう言って私の隣で残念そうに笑う。

「響さんと翔さんに見慣れてる花音には、中々彼氏ができないかもね」
「えっ!? なんでっ!?」

思わず声が大きくなってしまい、慌てて顔を俯かせる。
そんなの嫌だ……。
私だって恋をして……彼氏を作りたい。

「あんなイケメン他にいないからねー」
「私別にイケメンがいいわけじゃないよ?」

クスクスと笑う彩奈に、プクッと頬を膨らませて反論する。

「じゃあなんで彼氏作らないの? 入学してからもう何人にも告白されてるくせに」
「それは……」

私は開いた口を噤《つぐ》むと、窓の外を眺めて小さく溜息を吐いた。

今日は溜息ばかり吐いてるなぁ……。
私の幸せが逃げちゃう。

そんな事を思いながら、また小さく溜息を吐いたーー。

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