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インターセックス

第1章 性転の霹靂

 風呂場の鏡に写る自分の胸の膨らみを見るたび自分が何者なのわからなくなる。股間を見ると、そこには、男性自身がある。その奥にひっそり隠れるように割れ目が存在している。男性特有の陰嚢は、付いていない。こんな自分が人として存在していていいのだろうか、そんな絶望感が私の心を覆い尽くす。普段は、女性として生きている。周囲の人たちもその存在を女として疑わない。しかし常に正体を知られることの恐怖に怯えながら暮らしている。それは、少年期に経験した差別的ないじめ体験から根付いている。あまり意識しないよう心がけているのだが徐々に変化していく自分の体に思考がついていかない。
子供の頃、たしかに自分は、少年だった。自分では、そうだと思いこんでいた。ある日それを覆す迷宮の入り口に引き込まれる事が起きたのです。

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