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インターセックス

第6章 人生初のキッスは、同性だった。

 すばるの口が私の口に重さなり潤んだ顔をしている。

すばるの柔らかい唇の感触。「ああ、これがキスか」そう思うと胸が高揚してくる。
目を閉じて口の感触に集中する。
すると、すばるの舌が私の口の中に入ってくる。
絡み合う舌と舌。
なんとも言えない高揚感に包まれ甘美な世界に落ちていく。
 と、その時、突然ドアが開き入ってくる加奈子。
「あのさー、夕ご飯なんだけど……」
抱擁する私達を見てあぜんとする加奈子。
「おじゃまだったかしら」
あわてて離れるが、高揚感から一転、羞恥心ではちきれそうな心臓。
顔が熱くなり自分でも赤くなっているのが解る。
「ちょっ、ちょっとふざけ合ってただけよ。誤解しないで」
すばるも顔が真っ赤で俯いている。
「あぁ、ごめんなさい。私帰ります」
すばるは、立ち上がりカバンを小脇に抱え小走りで部屋を出て行く。
動揺して立ち上がれない私。
唖然とした顔で目で追う加奈子。
パタパタと早足で階段を下りて何も言わずに玄関を出て行くすばる。

 加奈子が私を怪訝な顔で見つめてくる。
「あのさー、別に良いんだけど、これって同性愛ってやつ?」
「たぶん、わからんけどそうみたい」
「キス初めてかい?」
「ああ、やめて。恥ずかしい。誰にも言わないで」
「へえ、初キッスが女子なのね。あの子、貴方の体の事知ってるの?」
「多分知らない。誰にも言ってないし」
「まあ、性別で差別は、しない方が良いわよね。人が好きになるって事は、大事な事よ」
「そうなんだろうけど、私は、人を好きになるって事が怖いのよ」
「これからよ。いろんな人と出会って、そう言う気持ちって自然に沸くものよ」
「私、どうなっちゃうの。わからない、自分の事がわからない。どうしたらいいの?」
「あんた、もう少し自分に自信を持ちなさい。自分の体の事を受け入れて」
「心と体が違うのよ、だめだと思う心と自分でもよくわからない求める体が…… 揺れてるのよ心が」
「わかるわ、その気持。でもね、自分の気持ちに正直になりなさい。そうじゃないと苦しむのは、自分よ。人生これからなんだから、いっぱい恋して、いっぱい泣いて、いっぱい笑うのよ」

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