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インターセックス

第7章 悪夢

 川沿いの遊歩道のベンチに腰掛けて夕日を眺めながら付き合いたくもない哲也くんとタピオカを飲んでいた。
 哲也は、ゲームの話やどこのタピオカが美味しいだの聞きたくもない話を延々としてきた。
私は、作り笑いをしながら相槌をうっていた。
こいつ、自分の興味あることしか話さない。聞いていてうんざりだ。もうこいつとは、今日限りにしようと決心していた。
「ねー夏音ちゃんってキスとかしたことある」
「えー、無いわ」
昨日、すばるとしたけどそんな事は、口が裂けても言わない。
「ねえ、ちょっと目をつぶって」
「うん? どうして?」
何をしようとしているかは、直感でわかった。
「ほら、あそこ」と遠くを指差す拓也。
つられて遠くを見た。それが失敗の元だった。
指差す方向を見ていた瞬間拓也が抱きついてきた。
次の瞬間口が塞がれていた。
やられた!
必至に抵抗しても力強く抱きしめる拓也を跳ね除けることは、できなかった。
やっとの思いで口を離す。
「だ、だめよ。やめて」
「いいじゃん。少しだけ。ちょっとだけだから」
更に吸い付いてくる拓也の唇。
早く終わることだけしか考えられなかった。
「ちょっとだけよ。ちょっと」
そお言う私の口を塞ぐようにグイグイせまってくる唇。
ぬめっと、挿入してくる舌は、昨日のすばるの物とは、ぜんぜん違う。
異物を挿入されたような違和感しかなかった。
あーやだやだ。早く終われ。そんな事しか考えられない。
なのに興奮が高まる拓也の息は熱気を帯びている。
私の胸をもみ始める拓也。
いやな予感しかしなかった。
きた!
とうとう来てしまった拓也の右手が私の股間へ。
自分の意識に逆らって私の股間は、硬さを帯びていた。
それに拓也の手が触れた途端、拓也の息遣いが止まる。
一瞬時が止まったかのような静寂が襲う。
確かめるように拓也の手が私の股間を触る。
一瞬でそれは、硬さを失い股間に埋没するかのようにうなだれる。
まるで亀の頭のようだ。
ぎょっとした顔の拓也は、私から離れる。
まるで幽霊にでも出会ったかのような驚きの表情。私には、そう見えた。
「おまえ、なんなんだ! 男なのか!」
全身の血の気が引く。意識が飛ぶのかと思うくらい動揺してしまった。
「ち、ちがう‥」そお言うのがやっとだった。
逃げるように走り去る拓也の背中を目で追う。
「だれにも言わないで‥」小さな声しか出なかった。

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