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インターセックス

第8章 雨上がり

「私も詳しくないんだけど、受精卵が成長する時に最初は、みんな女なんだって。それが成長する時に男の子に分かれて行くらしいんだけど時々それがうまく行かない子がいるんだって。私がそれで、どちらにも属さないって言うか両方持っているのね。性分化疾患って言うらしいんだけど」
「性分化疾患ですか。初めて聞きます」
「そうよね。私も他で聞いたこと無いけどお母さんの知り合いには、何人かいるらしいわ」
「何人かってそんなにいるんですか?」
「人によって偏り方が違うけど結構いるらしいわ。でも皆、隠し通すか手術しちゃうらしいけど」
「そうだったんですね。私、ぜんぜん気になりません。って言うか益々好きになっちゃいました」
「ええ? そうなの」苦笑いしてしまった。
「ああ、やっと笑った。好きです先輩。笑顔の先輩大好きです」
「やっだ。やめてよね。抱きついてもなんにもしないわよ」
2人共大笑い。
母が、おにぎりと漬物を持ってきた。
「あら、良かった。やっと笑顔が戻ったわね。ありがとねすばるちゃん」
母も喜んでいる。私もやっと苦しさから逃れられると安堵の気持ちが湧いてきた。
「すばるちゃん。今日は、ゆっくりしていってね」そう言って部屋を出ていく母。
窓の外から夕日が差し込んでくる。
「ああ、夕方だったのね。私、頭がボーッとして朝なのか夕方なのかもわからなかった」
「雨、あがりましたね。先輩」
「すばる、私のこと先輩ってやめない? 『かのん』でいいよ」
「えー、やだ! ちょっと照れちゃう」
「すばるは、私の親友よ。だからこれからは、『かのん』って呼んで」
「かのん」少し照れながら私の名前を呼ぶ。
「なんだい? すばる」
「やっだー恥ずかしい」
「私も」
2人とも大笑いする。

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