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インターセックス

第11章 信頼

 もしかしたら椎名さんなら私のことを理解してくれる。
考え方もしっかりしていて尊敬できる椎名さんならば。
この人に話してみよう。
ふと、そう思った。
 恐る恐る椎名さんに聞いてみる。
「性分化疾患て知ってますか?」
「あー、知ってるわよ授業でこの前受けたから。どうして?」
「私、それなんです」
「うっそ! すごい! 両性具有なの? 見せて、見せて」
驚いた顔で私を見る椎名さん。
「ちょっとー、椎名さん。駄目です。見せません」
「いいじゃん。医学的にもどんなだか見てみたいし。絶対言わないから見せて。お願い」両手を合わせt拝んでいる。
「えーでも…… ちょっと恥ずかしいし。ちょっとだけですよ」
隠していた手をどけて足を広げる。誰にも見せたことのない秘密の部分。
目を丸くして凝視する椎名さん。
「ほー、これが実物か。ちょっといい?」
と手を伸ばし、つまむ。
「あー、駄目ですよ。それ触っちゃ」
思わず足を閉じる。
「だって、この下どうなってるか知りたいじゃん」
微妙に変化している部分。
「だいじょぶ、大丈夫だって」って椎名さん。顔がにやけている。
もう、その顔は、興味深々にしか見えない。
「あのー、これって医学的に見てるだけですよね?」
「もちろんよ。だって、めったに見れない疾患だし。陰部なんて実習で散々見てるから慣れてるわよ」
「はあ、そうですか。じゃあ、どうぞ。後学の為に」
広げる足の間に顔を突っ込み至近距離でまじまじと見ている。
「ほお、素晴らしい。陰嚢は、付いていないのね。外陰部と陰茎は、普通ね。少し小さいけど。立派に機能するわ。これ」
「あー! そこ、広げちゃだめです」
真剣。
「あのー、すいません。もうそのくらいで……」
「あー、ごめん。ごめん。つい、興奮しちゃって」
「はあ、興奮していたんですか」
「いや、あの……。少しだけ。ごめん」と椎名さん。

 お風呂をあがり部屋に帰ると悩みを打ち明けた。
高校での忌まわしい出来事。ネットに拡散されたデジタルタトゥーの事やら。

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