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インターセックス

第11章 信頼

 ただ、一つだけ困ったことがある。それは、お風呂だ。
私の体は、人に見られては、いけない。
広い浴場は、多くの人が入ってくる。もちろん従業員もだ。特に椎名さんが仕事終わりに誘ってくる。
どうしても一緒に入りたくない私は、都度言い訳をしてごまかしてきた。
それが一番苦労する。深夜寝静まった頃を狙ってお風呂に行く。
しかし、お風呂は、最終が夜12時。自動でお風呂の給湯が止まってしまう。
だから11時には、入らなければならない。

 そんなある日、事件は、起きた。
その日は、夜10時ころだった。椎名さんは、いつもこの時間、勉強している。
なので、つい油断してしまった少し早めに入ろうと。だいたいこの時間は、誰も入ってこない。
いつもより忙しく疲れていた私は、早やめにお風呂に入った。
お風呂は、5~6人位が入れる広めの湯船と洗場。

 当然、誰もいない事を確認して入浴を始めた。
私が体を洗い始めると突然、椎名さんが入ってきた。
「おつかれ。隣いい?」
 驚いた。
「ああ!」開いた顎が外れるくらい驚いた。
私は、反射的に体を見せないように縮こまる。
何食わぬ顔で隣に座り体を洗い始める椎名さん。
動揺する私を見て不思議そうな顔をする。
「どうしたの? 恥ずかしいの?」
「だって、急に入ってくるし」
「だって、誘っても断るじゃない。恥ずかしがりやさんかなと最初思ってたけど。何か訳ありなんじゃないかと思ってさ」
「はあ、訳ありですか。あたってる……」
椎名さんの目線を気にしながら股間を閉じて体を洗う。

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