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インターセックス

第14章 発覚

 その日、2時間目の授業が終わりトイレに行こうと廊下を歩いていた時だ。
廊下の端で白石里奈達が3人位の仲間と話をしている。
白石さん達の賑やかな女子トークが廊下に響いている。
そのグループの脇を通り過ぎようとした時に声を掛けられる。
「ねえ、川谷さん。ちょっといい?」
白石さんとは、話をしたことが無かったので少し驚いた。
私は、足を止めて白石さんの方を見た。
「はあ、何でしょう?」
「あのさ、今日学校が終わってから夕方、カラオケ行くんだけど一緒に行かない?」
「今日ですか? ちょっと今日は、……」
正直、普段の付き合いがない人と急にカラオケなんて行く気になれなかった。
「あのさー、話したい事もあるんで付き合ってよ」
「今日ですか? 別の日じゃだめですか」
「嫌なら、いいんだけど。良いのかな、川谷さんの秘密ばれても」
ギョッとした。いつかこう言う日が来ることを覚悟していたがショックだった。
「何ですか? 秘密って?」
「まあ、ここで話せる事じゃないし。嫌なの?」
「わかりました。じゃあ、川崎結菜さんも連れて行っていいですか?」
「いいわよ。でも来られないと思うけど」
「じゃあ、わかりました。放課後校門の前で待ち合わせって事で」
「待ってるね」と白石さん達は、笑いながら去っていく。

 とうとう、こんな日がやってきてしまった。
やはり、隠し事なんていつかバレてしまうんだ。そう言う悲壮感が襲ってくる。
 どうしよう、戦うべきなのか。それともカミングアウトしようか。でも、学校との約束もあるし。
私は、迷っていた。

 トイレから戻った私は、ゆいに声を掛けた。
「ねえ、ゆい、今日カラオケを白石さんから誘われたんだけど一緒に行ってくれない?」
「今日? ちょっと無理ね。ちょっと今日、忙しいんで。ごめん」
そう言って席を立ってしまった。

 抱える不安を真っ先にゆいに相談したかったのだが今日は、ゆいの様子がいつもと違う。
何だかよそよそしいと言うか避けているように見えた。

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