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インターセックス

第14章 発覚

 頭が混乱していた。どうしよう、この場をどう切り抜けよう。
とにかく、ゆいを守らないと。そう思い込んでいた。
「じゃあ、正直に言うわ。だから、この写真削除して」
「おお、いいね。じゃあ。話せよ」
 何をどう話せば良いのか迷った。こいつらに納得させる方法は、丁寧に説明するしかない。
「私は、生まれたときから性分化疾患だったのよ」
「はあ? なんだそれ? 性分化……」
「男性と女性の機能が両方ついてるのよ」
白石と哲也が顔を見合わせている。
「両方って、マジかよ。そんな事ってあるのかよ」
「うっそー、信じらんないー」白石が驚いて言う。
回りにいる別の女の子も顔を見合わせている。
「そ、それじゃ。お前のそこってどうなってるの?」
「マジ、見てみたい」白石が言う。
「見せられません。やめてください。私がこの事でどんなに苦しんだか。哲也を殺して私も死のうかと思った事もあったのよ」
「えー、そうだったの。殺すって…… ヤベーじゃん」
苦しかったあの思いが鮮明に甦り涙が溢れてくる。
「私だって、好きでこんな体に生まれたんじゃない」
伴奏が止まりBGMが静かに流れているカラオケルーム。
しばらく、沈黙が続く。
「まあ、なんだな。そう言う事ならしょうがないな。勘弁してやるよ」
「勘弁って……」ちょっと違うだろー。それは、お前のことだ。そう思った。
「お願い。この事は、黙ってて。誰にも言わないで。それと、その写真削除してちょうだい」
「写真ね。いいけど。でも、出どころ俺らじゃないから」
「は? 誰が撮ったの?」
「それは、言えないな。なっ、白石さん」
「そうね、ゆいがバカなのよ。騙されちゃって」
「騙されたって、どう言うことなんですか?」
「さあ、帰ろうぜ。この事は、黙っててやるから。お会計お願いね」
お会計って、私が全部払うわけ? そんな事聞いてないし。
その時、財布の残金を思い出そうとしていた。
「ちょっと待って」
財布を出して所持金を確認する。
 お金を引っ張り出し確認に手間取っていると部屋から誰もいなくなっていた。

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