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逆ハー戦隊シャドウファイブ

第18章 18 ブラックシャドウの正体

 泣き続ける私の前で、ブラックシャドウは分厚い本をパラパラめくり「ここか」と呟き、読み始めた。

「陽気でいることが、肉体と精神の最上の健康法である」

知っている言葉が出てきて、思わず涙が止まる。

「最も尊敬される人間は、最も学問のある人間では決してない。最も聡明で、最も誠実な人間なのだ」

しばらくブラックシャドウの言葉を聞く。

「幸福は、われわれがそれを所有していると意識することのうちに存する」

私が泣き止んだのを見ると、ふうっとため息をつき本を閉じた。確かに彼は自分で言う通りフェミニストなのかもしれない。彼が読んでいたのは、フランスの作家でフェミニストでもあったジョルジュ・サンドの名言だった。

 私も一言呟いた。

「愛せよ、人生において良いものはそれのみである」

ハッとブラックシャドウはこちらを凝視する。

「良く知ってるな……」
「子供の頃よく行っていた本屋さんがあって。そこの本屋さんのスタンプカードにその言葉が書かれていたんです」
「本屋……」
「突然、閉店してしまってすごく残念でした。そこのおばさんが私にいつもいい本を勧めてくれて。そこで買ったサンドの『愛の妖精』はいまでも大事に持っています」

 なぜかブラックシャドウは押し黙り、私の話に耳を傾けているようだ。しんとした沈黙を破る様にジャリっと音がする。メンバーが起き始めたのだ。

「あっ、レッド! グリーン! ああ、みんな!」
私は、ふらふらしながらもメンバーに駆け寄った。

「ピ、ンク。大丈夫なのか」
「随分眠ってしまった」
「どんだけ経ったんだ?」

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