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逆ハー戦隊シャドウファイブ

第8章 8 レモントイズ

黄雅さんが打ち返した玉を左手で受け取り、ラケットを置いて、私の方にやってきた。

「フォームは良いんだ。ここを、もうちょっとこうすると」

私の背中から彼は腕を回し、ラケットを持つ右手の手首をつかむ。彼の左手は私の腰に回されていて、私の後頭部に彼の鎖骨を感じる。凄く近い。まるで後ろから抱きしめられているようで、緊張し、また心臓が強く打ち出す。少し汗をかいているから匂ったらどうしよう。
一緒に何度かラケットを振る。その度に彼のサラサラの髪が私の頬をかすめくすぐる。生地が厚いトレーナーだけど彼の体温が伝わってきて背中が温かい。大きな手がしっかりと私の手首と腰をホールドしている。

「こうやって振ってごらん」
「は、は、はい」

腰を少し低く落とされ、思わずお尻を突き出してしまい、彼の膝にこすれた。

「あっ」
「ん? 腰が引け過ぎかな」

恰好が恥ずかしいと思っていると黄雅さんはスッと私の腰を抱えまっすぐ立ち上がらせる。

「随分良くなったよ。また暇があれば練習しよう」

端正な顔で綺麗な笑顔を見せる彼に私の膝はガクガクしてしまった。

「ん? ちょっとやりすぎたかな」
「あ、だ、大丈夫です」

確かに久しぶりの運動で足をよく使ったが、このガクガクはまた別のもののような気がする。そんな私の手をスマートにとり白い歯を見せ黄雅さんが階段を上がる。卓球をしていたが、まるでダンスを踊った後のような気分になっていた。

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