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Melty Life

第3章 春



 あかりちゃんって、周りに友達たくさんいるイメージだから。


 水和の見解が当たっていたとしても、あかりが出かける大半は、家族が在宅している休日だ。彼らの親子水入らずを邪魔しないよう、そっと抜け出すことはあっても、今回のような時は、言いつけられた雑用をこなす。せっかくの大型連休中、重労働で体力が底をついても、あかりがノルマを終わらせなければ、あの両親は手を上げる。

 そんな事情を水和に話したところで、彼女も楽しくないだろうから、昨日は流しておいたものの。


 友達、は、多いのだろうか。

 侘しい学生生活ではないと思う。

 あかりは、特に同世代の女子との交友関係には恵まれていた。彼女達の中には、時折、恋愛感情を含んだ好意をあかりに向けてくる場合もあった。
 生徒会役員の衣川も、その例だ。あかりは彼女の人形めいた容姿にではない、俯きがちな表情に、心奪われた。水和への告白を妨げるために利用した結果になったが、好みにも当てはまらない人間相手に、顔を合わせたその日にいかがわしい行為はしない。


 あかりのこんな人当たりが、水和には孤独と無縁の心象を与えたのか。


 とは言え、このところ友人とは疎遠だ。

 あかりが小野田に媚びていた来し方が、同級生達が離れていく原因になった。 

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