
Melty Life
第5章 本音
そこまで話した知香の顔は蒼白だ。寝不足ではなく、体調不良で休んでいたのかとさえ思う。
「花崎先輩があんなことになったのは、私のせいです。私が何も言えなくて、言ったって誰にも信じてもらえないような、弱虫だから」
「そんなこと、ないよ」
「あの日、私がちゃんと話していたら。咲穂さんが何をしようとしているか気づいていたら、ああなる前に止められていました」
「気づけないよ、咲穂が何で水和先輩に目をつけるのか、やっぱり心当たりもないし。あるとすれば、あたしが親しくしてるのを知って……」
「先輩のせいなわけないじゃないですかっ!!」
あかりが来須に連れられて親族の家に押しかけた先週、帰り道やその夜眠りに就くまでも、知香はこんな顔を見せていた。側にいると言ってきかず、懸命に励まそうとしてくれていた知香は、あかりが思い詰めるほど、彼女自身が自責に駆られていたようだった。
知香は、あの時も、彼女の責任だとあかりに言いたかったのだ。あかりが水和を救えない、しかも出生のせいで来須が咲穂の被害の主張を無下に出来ないことを悲観していた傍らで、咲穂も現場を目の当たりにしていながら、何も言えなくて悩んでいたのだ。
「有り難う、知香ちゃん。今の話で助かった。来須先輩に会ってみる。理事長のとこにも、一緒に行ってもらえるよう言ってみる」
「待って下さい、あかり先輩」
あかりが知香に振り向くと、スマートフォンを出して欲しいと言い出した。
