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Melty Life

第2章 初デート


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 中学生までは、冗談抜きであかりに同情していた近隣住民もいたほど、親の愛情には事欠いてきた一方で、金銭面は全くと言って良いほど困ったことがなかった。

 自分で自覚しているのもおかしな話だが、早い話が、あかりの生まれ育った家は裕福だ。来須ほどではないにしても、母親も咲穂と買い物や食事に出かけたがっても、姉のあかりとは話もしたくないようで、その分、毎週末出かけるだけの予算が与えられていた。

 にも関わらず、周りのクラスメイトに比べて、あかりには物欲が乏しすぎた。それが災いして、後日、水和からLINEが届いて、改めてデートの日取りを決めたあと、あかりは重大な問題に気がついた。

 本命のデートに相応しい格好……。

 やたらフリルやレースがあしらってある皇子系だとか、いつ買ったのかも記憶にない量産だとかは、備わっている。しかし他の女子から贈られたものは水和の前で着られないし、さすがにあかりにもダサいと分かる格好もNGだ。

 眞雪に相談してみると、デート前日、彼女の予定は空いていた。

 買い物に付き合うついでに泊まりに来ないかという誘いに乗って、中学からの親友と、あかりは久し振りに水入らずのひとときを過ごした。


 とりわけ頻繁に出歩く眞雪のアドバイスもあって、無事買い物を終えて、修学旅行のノリで布団に入った。

 一度眠りに就いてしまうと、あっという間に夜が明けた。

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