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Melty Life

第2章 初デート



 開園前のアトラクションテーマパークのエントランスに現れた水和は、眩しいほどの存在感を放っていた。

 カップルや家族連れが目立つ休日の遊園地。時折、大人数の団体を見かける他に、いかにも常連の一人客の姿もある。


「お待たせ、ごめん……遅れたかしら」

「いいえ、先輩の時間が合ってます。楽しみで早く着いちゃって」

「それだけ待たせちゃったもんね。私も待ち遠しかったけど」


 総身に広がるくすぐったさを払うようにして、あかりは水和の片手をとった。

 リボンの付いたピンク色のスプリングコートから覗いた手は、まだ冷たい。指と指の隙間を自分のそれで埋めていって、あかりは水和のプライベートな姿を改めて眺める。


「開園、十時だったかな……」

「ですね。混むと思うので、入園チケットは用意しておきました」

「そうなのっ、有り難う。小銭出来たら、返すね」

「貴重な休みをもらったんですし、気にしないで下さい」

「でも……」

「その代わり、待たされた分、今日は独占させて下さい。花崎先輩」


 水和が、心なしか顫える睫毛を伏せた。私なんかで満足させられるかしら、とささめく彼女の濃く長い縁どりに、ピンク色のアイラッシュが混じっていた。それでなくても可憐である条件を、完膚なきまで満たした目許だ。
 化粧も、スカラップ裾のアウターから覗いたスカートの裾レースも、ピンク色が主に占めている。髪色もあって、あかりの中では青いイメージが強かった水和は、こういう装いも似合うのか。新たな一面を見た。

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