
Melty Life
第2章 初デート
「交換ー……してみない?」
「え?」
「あ、宮瀬さんファンに怒られちゃうか……」
「いえ、いないんで大丈夫です」
…──大丈夫ですが、あたしの心臓が も ち ま せ ん 。
「じゃあいっか。はい。しよ。クラスメイトとなら普通にするでしょ」
「えっ、……」
あかりが躊躇している内に、水和の喉の鳴る音がした。
彼女がストローから吸い上げたのは、クレームブリュレの入ったグラス。美味しい、と、無邪気な余韻を吐き出しながら、付属のスプーンで添付のクリームまで掬い上げている。
「ふむふむ。ビックリするほど飲み物だね。味はめちゃ濃い。あ、宮瀬さんも私の飲んでねー」
「…………」
三週間前、水族館では何が起きていた。…………
気になるのに確かめられない。
来須にも竹邑にも遅れをとれない、抜け駆けも当たり前くらいの心構えでいなければ、水和など簡単に手の届かない場所へ離れてしまう存在なのに、探りを入れたところでどうにもならないのも事実だと分かっていればこそ、ルール違反をしようという気も起きない。
