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Melty Life

第2章 初デート




「っつか、俺はマジなボーイッシュを知っている。希宮、お前はニセモノだ!」


「いやいや、もうこれギャグだから。ネタでしょ?金髪くん?お望みなら男装で出直してくるけど?」

「見たくねぇよ!あと俺は竹邑ゆうやだ」

「あー、そうそう竹邑くん。あ、悪いけど本番も手とか握らないでね。男マジ無理だから」

「お、おう」

「でも仕方ない。仕事はしよっか。今月、私、生活費ヤバいから。あと今日家事も残してきてるから、さっさと終わらせて帰らせて」

「そ、そうなのか……?」



 命懸けの恋になっても本望だ、言わば一世一代を賭けた恋愛中に、肝心の本人が他の女に独占されている時に、自分は何が悲しくて、初対面のモデルとふざけたデートもどきを演らされなければならないのだ。

 あまりにも惨めでゆうやは目尻が熱くなるのを感じたが、目前にいる、いかにもちやほやされて良い気になっている種類のモデルは、しかし話せば話すほど、なかなか自分に近い境遇にいるのではないかという予感も湧いてきた。少なくとも莢は、ゆうやの中身を見ようともしないで、身体に触って喜ぶような女ではない。しかも認めるのは癪に触るが、タイプこそ違うにしても、あの宮瀬あかりにこそ近い。


「おい」

「何、金髪くん」

「お前、女にモテるか」

「人気キャラって言ったじゃん」

「あとで構わない。確実にデートで落とす方法を教えろ」

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