
Melty Life
第2章 初デート
「だって、私なんかのために、宮瀬さん達の貴重な一日を寄越せと言ったようなものなんだよ。確かに、よく知らない貴女達が告白してきてくれて、どうすればお互いを知ることが出来るか、私なりに考えた結果だった。……けど、そんなつもりじゃなかったとは言え、テストするみたいなこと……」
「うーん……よく分かんないですけど、それで先輩は、あたしのこと少しは知ってくれました?」
「え、ええ、もちろん」
「例えば」
「デートしていて、楽しかったわ。あの、恥ずかしいけど、私、恋とかよく分からないんだ。だから、その……好きか違うか、と言われたら、それは来須くんに関しても同じだけど、少なくとも宮瀬さんは……──宮瀬さんの方が、楽しかった、かな……」
ちょっと待て、と、あかりはスマートフォンを瞥見した。
待て。確認したいことがある。今すぐ数秒前に戻せ。
「…………」
「…………」
「ほんと、ですか?」
「えっ、何が」
「来須先輩よりあたしの方が楽しかった、って……」
「…………」
水和が頷いた。
躊躇いがちに、後ろめたい本心をおずおずと口にする子供のような気色を表す上級生は、今まで他人を比較したことなどなかったのだろうか。恋愛においては公平さこそ残酷なのに、この天衣無縫な少女は、ここで相手を格づけしてしまうことに、罪悪感でも感じているのか。
可愛い、と思う。
