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Melty Life

第3章 春


* * * * * * * *

 郊外のカラオケ店で、スマートフォンを触りながら適当な歌を歌っていると、今朝受付を済ませるなり出て行った親友が、二時間振りに部屋に戻った。

 珍しく髪をハーフツインテールにしている眞雪は、小柄な体躯を花柄の赤いワンピースでめかしこんでいる。赤とピンクが基調のメイクに、スイーツや桜がモチーフになったアクセサリー。
 こうも彼女好みの休日スタイルは、制服姿の時にも増して、そのかよわさを引き立てるのに、当の眞雪は豪胆だ。


「見てきたよ。勇気のないあかりの代わりに」

「マジで?」

「うん。大丈夫そうだから戻ってきた。証拠写真、見る?」

「隠し撮りじゃん。……ごめん、心配してくれてるのは分かるし、あたしだって不安はあるけど、見ない」

「ルール違反、か」

「生徒会長も、大丈夫だから黙認なんでしょ。竹邑先輩、あの強面でも、一応あいつの親友らしいし……」

「あー、うん。まぁ」

「知ってたの?」

「噂で。花崎先輩との今日のデート情報も、竹邑先輩のファンクラブから聞き出したことだし。陰で人気あるし、意外と素朴な人なんだってね。怖いのに」

「うそ……」


 眞雪は空いたソファには目もくれないで、当然の特等席に腰かける顔をして、あかりの真隣に座った。赤いスカートの襞が広がって、オードトワレか洋服の芳香剤かが、悩ましげに香る。

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