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Melty Life

第3章 春


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 西陽が目にしみる頃、あかりは眞雪と地元に戻って、部活動帰りの玲と落ち合った。

 蜘蛛の巣を張ったデザインの黒いレースが無造作にあしらってある白いダメージ加工のカットソーに、黒やグレーのチェックが入った臙脂のハーフパンツを合わせたあかりと、さっきからドリンクバーに行こうとして立つ度に、テーブルの間に引っかかりそうになるほどスカートの広がったワンピース姿の眞雪。対して、テニスラケットを壁際に立てかけて、長い黒髪を一つに結んだジャージ姿の玲は、傍目から見ればどういった繋がりなのかと首を傾げられる顔触れかも知れない。
 テニス部での今日の顧問の愚痴に始まって、上から目線の上級生の悪口を聞いて、チーム対抗の部員同士の練習試合を振り返っては楽しそうに話す玲の顔につられて笑って、三人分のパンケーキがなくなる頃、今しがたまで店員として動き回っていたともかがテーブル席に着いた。


「お疲れ様、ともか」

「疲れたぁ……日曜、地獄……」

「すごい呼ばれてたもんね。出来る女、って感じだったよ」

「働きたくない。でもシフト入ってると、必要に迫られて動かざるを得ないの」

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