女子寮の今年の下働き男子は
第1章 こそどろ騒動
くみが、そおーっと部屋の入り口のドアを開いた。
さすまたをかざす寮長先生が、中に入る。
そして…。
「くみさん、みゆきさん。居ませんよ?」
え?ウソ?
部屋の中、お風呂を見ると、誰もいなかった。逃げたんだ、きっと…。
「くみさん、みゆきさん、窓の鍵を点検してください」
二人は、部屋に2枚ある窓を点検した。1枚は勉強室に、もう1枚はお風呂場の小さな窓。
どちらも、閉まっている。
おかしい。二人が入るまで、部屋は密室だった。
逃げたのは入口からとしても、どこから入ったんだろう?
ぼうぜんとするくみ、みゆきに、寮長先生が言った。
「あと5分ほどしたら、寮長室に来てください」
「はい」
「ねえ、みゆき?わたしの下着、知らない?」
くみが、宅急便の箱の中を必死で探している。
「知らないけど…。くみこそ、わたしの下着、知らない?」
「ないの?」
「うん。なくなってる。20着、あったのに~」
「どうしよう?わたしも、20着用意してた~」
「今、着てる分しかない~。どうしよう~、お金もないし~」
この寮では、毎月初めに保護者から小遣い金が送られ、貯金として貯めていくシステム。今月分は、文具に消えていた。
下着については、20着ほど用意し、洗濯して使うようにということだったのだが。
二人の中2女子は、途方に暮れた。
二人は、半泣き状態で寮長室に行った。
入って、二人は、え?と驚いた。
そこに、先ほど見かけた不審者の男がいたからである。
「あ、くみさん、みゆきさん、紹介します。今年のこの寮の下働き男子を務めさせる、コウタと申す者です。あいさつ!」
寮長先生が、男の背中を押した。
男は、顔を上げた。
『あ』
『え』
二人のまだ幼い女子は、男が存外若いことに気がついた。作業着だったので、てっきり中年男とばかり思っていたからだ。
「くみさん、みゆきさん、よろしくお願いします。先ほどは、失礼しました。いろいろと準備をしていましたので」
そして、二人の中2女子は、その若い男の容貌に注目した。
『意外とイケメン?』
『よく見ると、カッコいい?』
コウタは、今年1年間、この寮の下働きを務め、寮生のお世話をする。歳は24歳、今までフリーターをしていたらしい。
背はそれほど高くない。髪は、ぼさぼさ髪。パッとしない、風采の上がらないようす。どこから見ても、不審者という感じである。
さすまたをかざす寮長先生が、中に入る。
そして…。
「くみさん、みゆきさん。居ませんよ?」
え?ウソ?
部屋の中、お風呂を見ると、誰もいなかった。逃げたんだ、きっと…。
「くみさん、みゆきさん、窓の鍵を点検してください」
二人は、部屋に2枚ある窓を点検した。1枚は勉強室に、もう1枚はお風呂場の小さな窓。
どちらも、閉まっている。
おかしい。二人が入るまで、部屋は密室だった。
逃げたのは入口からとしても、どこから入ったんだろう?
ぼうぜんとするくみ、みゆきに、寮長先生が言った。
「あと5分ほどしたら、寮長室に来てください」
「はい」
「ねえ、みゆき?わたしの下着、知らない?」
くみが、宅急便の箱の中を必死で探している。
「知らないけど…。くみこそ、わたしの下着、知らない?」
「ないの?」
「うん。なくなってる。20着、あったのに~」
「どうしよう?わたしも、20着用意してた~」
「今、着てる分しかない~。どうしよう~、お金もないし~」
この寮では、毎月初めに保護者から小遣い金が送られ、貯金として貯めていくシステム。今月分は、文具に消えていた。
下着については、20着ほど用意し、洗濯して使うようにということだったのだが。
二人の中2女子は、途方に暮れた。
二人は、半泣き状態で寮長室に行った。
入って、二人は、え?と驚いた。
そこに、先ほど見かけた不審者の男がいたからである。
「あ、くみさん、みゆきさん、紹介します。今年のこの寮の下働き男子を務めさせる、コウタと申す者です。あいさつ!」
寮長先生が、男の背中を押した。
男は、顔を上げた。
『あ』
『え』
二人のまだ幼い女子は、男が存外若いことに気がついた。作業着だったので、てっきり中年男とばかり思っていたからだ。
「くみさん、みゆきさん、よろしくお願いします。先ほどは、失礼しました。いろいろと準備をしていましたので」
そして、二人の中2女子は、その若い男の容貌に注目した。
『意外とイケメン?』
『よく見ると、カッコいい?』
コウタは、今年1年間、この寮の下働きを務め、寮生のお世話をする。歳は24歳、今までフリーターをしていたらしい。
背はそれほど高くない。髪は、ぼさぼさ髪。パッとしない、風采の上がらないようす。どこから見ても、不審者という感じである。