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幸色の卒業を君に捧げる

第1章 幸色の卒業を君に

[一雅サイド]

生きている意味なんて何もない。
校舎の屋上で空を見上げて足を進める。
ここから飛び降りれば...全て終わることが出来る。

「危ない!!」
え?
何が起こったのか私はすぐ近くの地面に転がる。

「何してるの!!あんた!!」
私の腕をめいいっぱい引っ張った少女は真っ直ぐな瞳を私に向けた。
あ、可愛い。
極めの細かい日焼けを知らない肌。ぱっちり二重の澄んだ瞳に影を落とすような長い睫毛。ほんのりピンク色の小さな唇。色素の薄いセミロングのストレート。
キスしてしまいそうなほど近くで少女の顔が映る。
私はこの子のことを知っていた。
三上晴(みかみはる)。同じクラスの委員長。
女の子らしく天使のように優しいと、クラスメイトから天使だの女神だの呼ばれているのを耳にしたことがある。

「あなたこそ何をしているの?」
天使に命を助けられたなんて神秘的だが、お陰で死に損なってしまった。
少しムッとして少女を見つめる。

「はぁぁ!あんたが自殺なんかしようとしてるからでしょ!」
教室では見たこともない形相でくいかかられる。
会話したのは初めてだったが、こんな子だったのか。
まぁ、今日で死ぬ私には関係のないことだけど。
その逆もしかりだ。

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