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数珠つなぎ

第3章 あんたを許さない

「ガード固いんだから仕方ないでしょ?それに俺じゃ無理な事わかってたくせに」


俺が今まで落として来たヤツとは違って『金』に目がくらむようなヤツじゃない。

時給がいいからここにバイトに来たことは否めないけど、中で行われている仕事の辛さをよくわかっている。


それは確実に智の影響だ。


お互いにこの店で唯一仲がいい友達で、気心知れた間柄だからこそ智は二宮に色々なことを話していた。

そんな仲のいい2人が友達以上の感情を抱いているのには気づいていた。

特に日々強くなっていく二宮の事が心配だった。


智を救う為に無茶をするかもしれないって。



その気持ち……俺は痛いくらいに理解できる。



そしてそれを予想できたオーナー。

怖いくらいに人の気持ちを読み、そしてそれを私利私欲のために利用する。


「君ならきっと俺の期待に応えてくれるって思ってたんだけど?」

ニヤリと笑うと俺の顎を掴んでグイッと引き寄せた。

「で、この損失分はどう補てんしてくれる?」

俺は目の前の煩い口を塞いだ。

「幾らでも支払いますよ?お金じゃなくて……この身体でね?」

誘うように舌舐りしてみせた。

「じゃあ早速、今から……」

近づく唇を掌で受け止めた。

「なんだよ」

俺の手を乱暴に払い除ける。

「俺、二宮に興味あるんだよね」

「お前にしては珍しいな。他人に興味あるなんて」

椅子に踏ん反り返って、何かを疑う様に俺を見上げる。

「ライバルになりますからね?視察しとかないと」

「ライバルねぇ。悪いけどお前より上、行くよ?智くんの座も危ういかも」

これから懐に入るお金の事を考え、ニヤニヤひてやがる。

「売上は仕方ないけど……浮気しないでよ?」

「それは、お前次第でしょ」

ニヤリと笑い、椅子に座っている脚を広げる。

その間に身体を割り入れ、ファスナーを下ろす。


目的のためなら、なんだってしてやる。

この身体もいくらだってあんたに捧げてやる


だからあんたには俺以外、誰も触れさせない。


あんたに汚されるのは俺だけでいい。

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