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数珠つなぎ

第3章 あんたを許さない

「二宮、次の予約入ってないよね?そのまま、VIPルーム1時間押さえておいて」

受付に要件を伝え終わると、俺を見てまたニヤリと笑う。

「まだ物足りないの?ホント、淫乱だな」

グッと引き寄せられると、あんたの胸に飛び込んだ。

「んぁっ…」

スルッと手は下半身に伸び、反応しかけの俺のモノを撫でる。


こんな風に容易く刺激に反応してしまう身体が便利だと思うと同時に恨めしくも思う。


「VIPルームと二宮、押さえたからきっちり指導してやれ」

耳元で妖しく囁いた。

「その必要はないでしょ。初心な感じの方がお客様は萌えるんじゃない?」

「お前にしては、いい事言うね……」

「ふふっ、ありがと」

「お前……」

ニッコリと笑いかける俺の顔から何かを探るようにジッと見つめるから、少し不安になる。


これからしようとしている事を察したか?

いや……そんな筈はない。


ゆっくりと顔に伸びてくる手を見つめていると、口角辺りを指で掬った。

「残ってるぞ」

指の先にはさっき飲みきれずに溢れいた白濁。

俺はその差し出された指を迷うことなく口内へ招き入れ舌で絡めとると、その指も俺の口内を動き回る。

ゆっくりと口内から出ていくので、指に絡まった唾液を吸い上げた。

「ホント、厭らしい」

嬉しそうに目を細めて笑う。


そんな俺のこと、好きなんでしょ?


「誰のせい?」

「お陰って言ってくれる?」


人の苦労も知らないで……


この世で一番許せないあんたの傍にいるため必死に努力してあんた色に染まってんだ。


「そんな厭らしい潤にプレゼント」

引き出しから1枚の紙を取り出すと、それを俺に差し出した。

受け取ったそれは履歴書。

「次のお仕事。失敗は許されないからね?今日から二宮に代わって受付してるからVIPルームの鍵を受け取る時に顔を拝んでおいてね?」

「りょーかい」

見せつけるようににニヤリと笑って部屋を出た。


作戦通り、事が進むって嬉しい。


でも……やっぱり悲しいよ。

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