数珠つなぎ
第4章 あなたたちを助けたい
『土地を守れる方法がある』
そう父ちゃんに告げたのは店の評判が悪い中でも足繁く店に通っていた人だった。
土地を担保に借り入れをすれば、地上げ屋は手出しできないと。
そしてあくまでも土地を守るための策で、本当に借りなくてもいい、借りるフリをすればいいと。
そのアイデアに父さんはすぐに乗った。
するとその人は、知り合いの金融会社を紹介してくれて、事情を説明すると快く引き受けてくれた。
そして手続きはトントン拍子に進み、言われた通りに書類を用意し、借用書にサインした。
お金に対しては人一倍、神経を尖らす父ちゃんだけど今回は違った。
疲れ切っていて判断能力が鈍っていた。
そしてなにより実際のお金の動きがないから、借金をしているという認識が無かった。
あくまでも『借金のフリ』
この2つの状況が、書類に目を通すことを忘れさせた。
書類の手続きをした次の日、さっそく地上げ屋が店に来たので借用書を見せつけると尻尾を巻いて逃げた。
その姿を見て、『よかったですね』と嬉しそうに笑っていた。
でもそしてその日以来、その人が店に来ることはなかった。
転勤でこの土地を離れたらしい。
父ちゃんはその人がまた訪れるまで店を続けようと心に誓った。
けどその気持ちは『裏切り』という形で打ち砕かれてしまった。
店が平穏を取り戻して3か月経った頃、地上げ屋が久しぶりに来た。
父はきっとまた得意げに借用書を見せたと思う。
追い返せると信じて……
けど、同じ借用書を地上げ屋は持っていた。
そして迫られる借金返済。
当然、父は納得はいかなかった。
だって借金などしていないのだから……
警察に相談しても、書類に不正はなく法定金利も守られていた。
『お金を借りていない』と言っても証拠はない。
しかし借金をしている証拠はある。
借用書がそれを証明している。
そして書類に書かれていた文章。
【三度支払いが滞った場合、全額返済か土地を差し押さえる】
借金したとされる金額は到底返せるものではなく、土地を手放すしか方法は無かった。
そう父ちゃんに告げたのは店の評判が悪い中でも足繁く店に通っていた人だった。
土地を担保に借り入れをすれば、地上げ屋は手出しできないと。
そしてあくまでも土地を守るための策で、本当に借りなくてもいい、借りるフリをすればいいと。
そのアイデアに父さんはすぐに乗った。
するとその人は、知り合いの金融会社を紹介してくれて、事情を説明すると快く引き受けてくれた。
そして手続きはトントン拍子に進み、言われた通りに書類を用意し、借用書にサインした。
お金に対しては人一倍、神経を尖らす父ちゃんだけど今回は違った。
疲れ切っていて判断能力が鈍っていた。
そしてなにより実際のお金の動きがないから、借金をしているという認識が無かった。
あくまでも『借金のフリ』
この2つの状況が、書類に目を通すことを忘れさせた。
書類の手続きをした次の日、さっそく地上げ屋が店に来たので借用書を見せつけると尻尾を巻いて逃げた。
その姿を見て、『よかったですね』と嬉しそうに笑っていた。
でもそしてその日以来、その人が店に来ることはなかった。
転勤でこの土地を離れたらしい。
父ちゃんはその人がまた訪れるまで店を続けようと心に誓った。
けどその気持ちは『裏切り』という形で打ち砕かれてしまった。
店が平穏を取り戻して3か月経った頃、地上げ屋が久しぶりに来た。
父はきっとまた得意げに借用書を見せたと思う。
追い返せると信じて……
けど、同じ借用書を地上げ屋は持っていた。
そして迫られる借金返済。
当然、父は納得はいかなかった。
だって借金などしていないのだから……
警察に相談しても、書類に不正はなく法定金利も守られていた。
『お金を借りていない』と言っても証拠はない。
しかし借金をしている証拠はある。
借用書がそれを証明している。
そして書類に書かれていた文章。
【三度支払いが滞った場合、全額返済か土地を差し押さえる】
借金したとされる金額は到底返せるものではなく、土地を手放すしか方法は無かった。