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数珠つなぎ

第4章 あなたたちを助けたい

でも……俺の選んだ道は間違っていた。


俺は踏み出してはいけない道へと潤を導いてしまった。


アイツが父ちゃんに渡していた名刺は偽造で、実際は偽物の借用書を作成した金融会社に勤めていた。


表向きは街中にあふれる消費者金融。

でも実際は法外な利息を取る闇金融。


俺の家族と出会った時はまだまだ下っ端だったけどアイツは2年余りで頂点まで上り詰めた。


その理由はわからない。


でも調べていく中で、その理由に繋がるかもしれない情報が得られた。


アイツは同時期にある商売をしていた。



男性相手に男娼を斡旋する『売り専』だった。



その店にアイツの秘密があると確信した俺は探偵に店の調査を依頼した。

でも店のバックにつく暴力団にどの探偵も尻尾を巻き、調査を放棄した。

もっと大金をつぎ込めば調べられかもしれないが、もうそんなお金はどこにもない。


何も得ることが出来ない日々が続く中、ある日を境にその状況は一変した。


だだそれは大きな犠牲を伴った。


潤は大学卒業後、未知の世界へと飛び込んだ。



アイツが経営する『売り専』の世界。



欲を満たしに来た獣や情報を得るためにアイツに身体を売った。


そんな事して欲しくない。


でも身体を売れば売るほど、復讐に必要な情報とお金が集まっていく。

そんな潤の姿を見て、俺は涙を流して謝ることしか出来なかった。


けど、止まる事はもう出来ない。


犠牲になるのは俺たちだけでいい。


でも時間は残酷にも過ぎていき、犠牲者をまた生み出していく。


借金返済の為に身体を売っている智という人。


家族思いの優しい気持ちに溶け込み、アイツは智って人を縛りつける。

そしてそこから連鎖し、新たな犠牲者を生み出そうとしている。


二宮という人。


好きな人を救い出すため、出口のない世界へと足を踏み入れようとしている。

またアイツは優しさや想いに溶け込み、縛りつけようとしている。


俺はいてもたってもいられなかった。


二宮の行動は潤の行動と同じ。


あの日、潤に出来なかった事を俺は二宮にしないといけないんだ。


潤と同じ思いをさせたくない。


俺と同じ思いを智って人にさせない為にも……

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